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粘着剤の悩み「浮く・ふくれる」|高温での耐性

課題・悩み

一般の粘着剤は、高温にさらされると「浮き」や「ふくれ」が生じやすくなります。

例えば、
・夏場の車内やエンジン周り、車のドアの外側
・電子部品の固定
・航空機や人工衛星の部品の固定
・天井材断熱のためのミラーフィルム

など、高温にさらされる機会の多い部分にも粘着剤は使用されています。


浮き・ふくれにより、以下のようなことが生じます。

・ダッシュボード周りの加飾が剥がれる
・エンジン周りのコードを結束するテープが剥がれる
・車のドアの外側部分の加飾が剥がれる
・電子機器や部品の不具合により、製品不良が起こってしまう
・人工衛星が使用できなくなる
・ミラーフィルムが浮いて外観不良となる

このように、熱のかかる使用シーンにおいて、耐熱性は非常に重要な課題となります。

浮く・ふくれる の原因

自動車内装部品・電子機器の部品にはプラスチックなどの樹脂材料が多く使用されており、プラスチックからのアウトガスの影響により粘着テープに浮きやふくれが生じます。

アウトガスについてアウトガスについて

ポリカーボネートやABSなどのプラスチックからできる樹脂板は水分を吸収しやすいため、高温になると樹脂からガス(気泡)が出てしまいます。

綜研化学からの提案

「浮く・ふくれる」を解消するためには「耐熱性」「耐発泡性」の機能が必要になります。

車内は夏場、非常に高温になる場合があるためこれに対応可能な「耐熱性」が求められ、またアウトガス抑制の「耐発泡性」の機能を追加することで、浮き・ふくれを解消することができます。


当社の製品では、「SKダイン1838」が耐熱性・耐発泡性の両方の機能を備えています。

SKダイン1838」は耐熱性が高く、プラスチックへの密着性が高いため、アウトガスによる浮きやふくれを解消できます。

耐熱性とは耐熱性とは

通常の粘着剤は熱がかかると変形し、剥がれが生じやすくなります。
耐熱性があるとは、熱がかかっても、かかっていないときと変化がない、もしくは変化が少ないことを指します。

高温下粘着力試験

SKダイン1838は、加熱処理後の粘着力低下が少ないです。

粘着力とは粘着力とは

粘着力試験では、被着体から剥がすときの力を測定し、剥がれにくさを評価します。
例えば、段ボールに貼りついたテープを剥がす時、「どれだけの力で剥がれるか?」が粘着力です。
高ければ高いほど、被着体にしっかりと貼りついていることを示しています。
粘着力は測定温度、被着体の材質などに大きく影響を受けます。

高温下粘着力試験の説明

一般的に粘着力試験は25℃などの常温下で行いますが、こちらの試験は80℃~120℃という厳しい環境下で行なうことで、高温において粘着力の変化が見られるかを評価します。

結果

一般品では、100℃、120℃と試験環境が過酷になっていくにつれ粘着力が下がっていき、120℃では80℃の際と比べて約1割の粘着力になっています。

一方、「SKダイン1838」は一般品と比較して、温度が上がっても粘着力は急速に下がらず、120℃でも80℃と比べて約4割にとどまっています。

SKダイン1838」は、120℃の環境下では一般品に比べて約4倍の粘着力を保持することができます。

熱処理後の粘着力低下の変化が少ないということは、高温下でも粘着剤が変形せず熱に耐えることができていることを示しています。

  • 高温下粘着力試験のイメージ
  • 熱処理後粘着力 80℃、100℃、120℃

    試験条件
    基材  :125μmPETフィルム
    塗布量 :30μm
    被着体 :ポリカーボネート/ABSアロイ
    剥離角度:180°
    剥離速度:200mm/min
    試料幅 :25mm
    加熱時間:10min

耐熱保持力試験

SKダイン1838は、高温時に高い凝集力を発現します。

保持力とは保持力とは

保持力試験では粘着テープに「一定の荷重」を「一定時間」かけ続けた時、ずれた距離を測ることでずれへの抵抗性を評価します。
数値が小さいほどずれへの抵抗力がある、つまり「ずれにくいテープ」と言えます。

またテープの中で変形してしまう場所は粘着剤層のみです。
テープの厚みが厚くなるほど粘着剤層が増加することになりますので、一般的にはずれに抵抗する力は弱まってしまいます。

耐熱保持力試験の説明

この試験では、80℃の環境下でテープに1㎏の重りをつけ、1時間後にずれた距離がどれだけあったかを見ます。
また、粘着剤の厚みは10~30μmと厚みを変えて評価を行いました。

結果

被着体につけたテープは1時間後のずれの距離が0mmと、全くずれが生じませんでした。
また、これは厚みが変化して、厚くなっても変わりませんでした。
保持力が高く、熱をかけても粘着剤が変化しないということで、極めて高い性能を示していると言えます。

  • 耐熱保持力試験のイメージ
  • 耐熱保持力
    [mm]
    SUS
    80℃
    10μm厚20μm厚30μm厚
    000

    試験条件
    基材  :25μm PET
    被着体 :ステンレス(SUS)
    貼付面積:20×20mm2
    評価時間:1時間
    荷重  :1kg

耐熱発泡性試験

SKダイン1838は、アウトガスを抑制します。

耐発泡性試験の説明

この試験では、プラスチック板に粘着テープを貼り付け、前処理としてオートクレーブ(加圧処理)により、テープ貼り合わせ時の空気をとり除き、被着体に完全に密着させます。

その後、120℃の高温環境下で24時間の耐久試験を行います。
24時間経過後、目視で発泡の有無を評価します。

結果

一般品ではアウトガスを抑えることができず気泡が発生し、浮きやふくれが生じます。
SKダイン1838」は、気泡を抑え浮きやふくれが起きないように対応した製品です。
プラスチックとの接着性が高いため、アウトガスへの抵抗力が高く、浮きやふくれを抑制できます。

  • 樹脂板からのアウトガスにより、発泡が生じる

  • プラスチックからのアウトガスにより、
    発泡が生じる。

  • 耐熱発泡性試験の結果

    耐発泡性

  • 試験条件
    基材  :125μm PETフィルム
    塗布量 :30μm
    被着体 :ポリカーボネート
    加熱条件:120℃×24h
    貼付条件:23℃-50%RH条件下で貼り付け、オートクレーブ(50℃・5kg/cm2×20分)にて密着させた。

SKダイン1838について

想定用途

・反射防止フィルム
・ダッシュボート加飾用
・飛散防止フィルム
・スマートフォン背面加飾
・ポリカーボネート使用箇所(例)
  ゲーム機、ドライヤー、パソコン、デジカメ、アイロン、照明グローブ、
  自動車のヘッドランプレンズ、ドアハンドル、オートバイの風防、テールランプ、カーポート

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