粘着剤を知る
【解説】ウレタン系粘着剤の特徴と用途、利点・注意点を解説
ウレタン系粘着剤は、微粘着で再剥離性に優れた粘着剤です。ウレタン樹脂は汎用性が高く、幅広い用途で使用されており、接着剤用途もそのひとつです。また、樹脂そのものの持つ特徴を活かし、粘着剤にも使用されています。粘着剤としては、汎用性という観点で課題はありますが、新たな付加価値の付与やさまざまな用途への展開が期待されています。
ウレタン系粘着剤の特徴
ウレタン系粘着剤は、ポリオールとポリイソシアネートからなる、ウレタン基を含む粘着剤です。凝集力の高いハードセグメントと凝集力の低いソフトセグメントで構成されており、これらを調整することによって、粘着力や保持力などさまざまな物性を発現、制御できます。ウレタン系粘着剤に含まれるウレタン基は高凝集力のため、微粘着で再剥離性に優れています。そのほか、極性が高いため透湿性に優れる、弾性率の温度・周波数依存が小さいため安定した特性が発現できる、低臭気・低皮膚刺激などの特徴があり、医療用テープへの展開が進んでいます。
一方で、硬さや分子量のコントロールに工夫が必要で、幅広い用途に対して実用的な粘着物性を発現することが難しいという側面があります。課題解決に向けて、鎖延長や可塑化成分の導入により、設計自由度に広がりをもたせ、粘着物性を向上させるための検討が進められています。ゴム系やアクリル系の粘着剤にはない特徴があるため、新たな付加価値を持った粘着剤を提供できる可能性があります。
主な用途
保護用フィルム、医療用粘着テープ、工程保護用粘着テープなど
ウレタン系粘着剤の利点と注意点
ウレタン系粘着剤の利点・注意点は以下の通りです。
利点
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再剥離性に優れる
再剥離性が高く、時間が経っても被着体から糊残りなく剥がすことができます。
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外的要因による依存性が低い
温度や剥離速度による粘着力の変化が少ないです。常温付近では粘着剤の硬さが変化しにくいため、粘着力の変化が少なく、安定しています。
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透湿性が高い
水蒸気を通しやすいなど、透湿性が高いため、皮膚に貼った際の不快感が低減します。
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高固形分化しやすい
分子量が比較的小さいため、有効成分比率を高くしやすいです。
注意点
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粘着力・タックが低い
一般的に粘着力・タックが低いため、被着体への強い貼りつきが必要な場面や、初期粘着力が必要な場面への使用は難しいことが多いです。また、強粘着力発現のために凝集力や架橋度を調整すると、粘着剤層の強度が低くなってしまい、糊残りが発生してしまう可能性があります。
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オレフィンへ粘着しにくい
極性の低い被着体には、貼りつきにくいことが多いです。
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高分子量化が難しい
高分子量化が難しいため、粘着剤の高粘度化など、粘度の調整が難しいことが多いです。また、これにより粘着剤の耐久性が弱くなる可能性があります。
強い粘着力やタックが必要とされる場合、粘着剤の耐久性が必要な場合にはアクリル系粘着剤の使用が推奨されます。
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